昨夜はぐっすりと眠れた。
昨夜の残りのアルファー米に、チューブ梅を乗せて食べる。
ハチミツコーヒーを飲んだらテントを片付け、光岳を目指して出発する。
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花に見送られ |
煙る稜線 |
まず、道中どれくらい時間がかかるのかが分からない。
冬の記録を見ると、結構時間がかかったようだ。
夏ならどうだろう?
踏み跡はあるが、自分の位置を把握する為に
地形図をこまめに見ながら歩く。
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X |
幕営に最適 |
歩いて行くと、本当にコブが多い。
地形図の等高線の間には、思っていた以上にコブがある。
ピークの数で現在地を把握するのは、私にはチト難しい。
周りの地形がたよりだが、大方、ガスが展望を遮っていた。
歩き始めてしばらくは、そこかしこに幕営適地がある。
とても快適そう。
水があればの話ですが。
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キノコ |
倒木 |
頭の上の方で、ゴロゴロゴロゴロ・・・・と音がする。
その度に『カミナリ?』と思うが、直後、ゴーーーと飛行音が聞こえ
『飛行機か♪』とホッとする。
キノコは顔をのぞかせ、根から倒れた樹が進路に横たわる。
緑色のシダのじゅうたんが涼しげである。
下界の記録的な猛暑が嘘のような、快適な山歩きだ。
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広い稜線 |
ヌタ場 |
だだっ広いピークにさしかかる。
この日は、
泊地→西俣山→椹沢山→信濃俣→百俣沢の頭→光小屋テン場
の経路だが、ここが西俣山か?
判然としない。
とりあえず、行く方角を間違えない様、
何度もコンパスで確認し、見極めたらとぼとぼ歩く。
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大根沢山 |
名無しのピーク |
途中、展望がきく場所でガスが晴れ、大根沢山の大きさに圧倒される。
既に西俣山は通過したと思っていたが、なかなか次の椹沢山に着かない。
周辺の尾根・沢・山の見え方と図とを見比べるとどうも違うようだ。
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ガレ頭(大根沢) |
大根沢の切込み |
大きなガレ縁を通過する。
ガレが発達した為、踏み跡が少しずつ東へ東へとズレて行った様な跡がある。
近い将来『尾根が寸断されそう』と思い、ザックに入れたカメラを再び出して、
今の姿を記録する。
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熊剥ぎ |
キノコ? |
辺りは益々藪っぽくなってきた。
荒々しい熊剥ぎや、馴染みの無いキノコを横目に歩いていく。
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古木 |
踏み跡 |
それにしても、なかなか椹沢山・信濃俣に着かない。
もしかして、通り過ぎたのかな?と思っていたら、
大きな倒木帯に差しかかり、尾根の東側を巻き気味に進む。
程なく、しっかりしたピークに出た。
山頂の木に何かが括り付けられている。
剥げた印刷をよく見ると、『椹沢山』と書いてあった。
そこから信濃俣はすぐだった。
狭いピークにザックを降ろし、ピーナッツパンを1つ2つほおばる。
この頃には、雨が降ったり止んだりしていた。
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立枯れた木 |
信濃俣山頂(三角点) |
信濃俣山頂でコンパスを確認し、進行方向のトレースを進む。
すぐに急な下りとなり、右が崖になっている。
事前に目を通した記録には、『右のガレに入り込まない様に進む・・・』とあったので、
『よしよし♪』と思いながら、急勾配→垂壁を木の枝につかまり、根っこにぶら下がりながら下る。
足元が崩れ落ちた拍子に、岩に擦れた腕時計のベルトが切れた。
その後、トラバース時に漕いだ枝葉が、眼鏡を跳ね飛ばした。
・・・・・。
何十年か前まで一般道だった山道が、こんなすざましいわけ無いよね(爆)
ここでコンパスを合わせると、進路より西へずれている事が分かった。
一旦、信濃俣山頂へ戻る事にした。
改めて山頂でコンパスを合わせ、
辺りを見ながら進んで行くと・・・右脇にトレースがあった。
方角も合っている。
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信濃俣北側の最低鞍部付近 |
コースマーク |
こういう道迷いの後は、思い切りが悪くなって歩くペースが落ちる。
この後到達する最低鞍部までの間に、進路の選択に迷う所があり、
そこでえらく時間を費やしてしまった。
最低鞍部に到着した時、カッパのポケットからコンパスを落とした事に気づいた。
急いで来た道を戻り、尾根下にコンパスを発見してホッとした。
ここから雷雨となる。
樹林帯の中だが、轟音と空を裂く様な雷光に首がすくむ。
雨粒が大きく、カッパを広げてたまった雨水を飲み、
樹の幹を流れ落ちてくる雨水をすすって水を節約する。
上を見ながら、山肌を這い上がっていく。
勾配が緩くなり、踏跡が、広い尾根を右に左に折り返して進むようになると、
百俣沢ノ頭は、もうすぐ目の前だった。
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百俣沢ノ頭 |
本邦最南のハイマツ群生地から西方/イザルガ岳 |
そこからは、はっきりとした山道を行く。
間もなく視界が開け、本邦最南のハイマツ群生地の丘にさしかかる。
池口岳、光岳、イザルガ岳の山並みを一望する。
時折、遠く北アルプスの方角の雲が、音もなくまたたいている。
どうやら、嵐は去った様だ。
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光 岳
光小屋のテン場は、前日の寝床と違って平らである。
しかし、互いのテントの物音が聞こえるので気を使う。
焼酎のお湯割りを飲んだら、飯も食わずに寝てしまった。
飯を作るのも面倒くさかった。
あぁ、眠い。
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