平成16年7月 茶臼岳【1日目】
 
今回は、南アルプスの茶臼岳を目指す。
私の知り合いに『茶臼岳が大好きで、年に何回も登る』人がいる。
その人は『茶臼岳にしか登らない』そうである。
何故、この人は、これほどまでに茶臼岳に魅きつけられるのか?
茶臼岳の魅力に触れるべく、この山を目指す事にした。

畑薙ダムに車を止めて、信濃俣林道を歩いていく。
昨夜からの頭痛は、未だ続いていた。
中止にしようか迷ったが、結局は『様子を見ながら歩けばいい』と来てしまった。
  

信濃俣河内堰堤

信濃俣河内
 
信濃俣林道の崩落地点手前から山道を下る。
 
下りきった所で、緊張しながら信濃俣河内入口の吊橋を渡り、
山肌をトラバースして沢の奥へと進む。
間もなく河床へ下り、大量の流出土砂で伏流し真平の河原歩きとなる。
 
チョロチョロとした流れが現れると、すぐに渓魚の姿も見られるようになった。
そして、堰堤に到着。
数年前までは、乗越えるのに難儀した堰堤も埋まってしまい、
何の段差も無くなっていた。
 

西河内出会い付近の信濃俣河内

西河内入口は荒れていた
 
尚も奥へ進み、数度の渡渉を繰り返すと支流・西河内出会いに到着した。
信濃俣河内本流は、両岸を狭めてようやく雰囲気を見せ始める。 
今回は、ここから西河内を詰め上がり、まずは西河内源頭の稜線を目指す。
 
西河内の出会い付近は、倒木と流出土砂で荒れた感じ。
しかし、少し奥に入ると段々と渓相が安定していく。
   

西河内

西河内
 
深淵が現れるとカバ沢出会い。
左へ進み、沢水を飲む大鹿に脅かされ、地形図の水線が消える
二俣に到着したら、沢水でソーメンを食べて休憩する。
 

地形図の水線が消える二俣

そろそろ水が消えそうだ
 
二俣を右に進むと、水が枯れて沢筋が2本に別れる。
左は幅広で明るく大量の土砂を押し出した沢。
右は、林の中を流れる暗く苔むした沢。
地形図と見比べて、水音の聞こえる右の沢に歩を進める。
 
間もなく砂礫(ガレ)の急勾配となり、
アリ地獄様の『踏ん張りの利かない』足元を嫌い右寄りに逃げる。
 
辺りに美しい蝶が舞っていたが、カメラを構えるとどこかに行ってしまう。
何度もそれを繰り返すが、結局撮影できなかった。
また、アブと小蝿が多く、うっとうしい。
スズメバチに似たアブは、羽音も大きく現れる度にどきどきする。
 

砂礫の斜面手前

 
途中から、ガレ脇の山肌につく。
 
『本当にこっちで良いのか?』と
キョロキョロしつつ、立つ山肌を上がっていく
ガレの頭の横まで来たが、まだまだ上があるようだ。
 
『どうもおかしい』と思い、右へトラバースすると
そこが大根沢山〜信濃俣を結ぶ稜線上『ブナ沢のコル』だった。
 
コルは細尾根だけど、寸又側の斜面にテント1張り分の
平らな場所があり、今夜の旅篭をここに決めた。
重荷から開放され、テントを張ったら水場へと下る。
5分下れば水を得られると聞いていたが、探しながら20分下っても沢は枯れていた。
遥か下に目をやるも、ガラガラの枯れ沢だ。
 
途方に暮れつつ別の場所に目をやると、岩が黒っぽくなっている場所がある。
大回りして下っていくと、そこだけピンポイントで水が滲み出していた。
水音もない、滲み出してすぐに滲み込んでいく水だ。
 
じっくりじっくりと時間をかけて、4リットルの水を汲んだ。
本当に小躍りしたいくらい嬉しい事だった。
 
テントに戻ってウォーターソックスを脱ぐと、3か所ヒルにくわれていた。
キンカンを擦り込み、焼酎のエネルゲン割りで食事をとったらシュラフにもぐる。
 

ブナ沢のコル
 
夜中、テント下の斜面を大きな動物が歩いて行った。
テントの外に出てみるも、既に姿は無かった。
  


TOP 2日目
 

 
 

 
 
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