今回は、南アルプスの茶臼岳を目指す。 私の知り合いに『茶臼岳が大好きで、年に何回も登る』人がいる。 その人は『茶臼岳にしか登らない』そうである。 何故、この人は、これほどまでに茶臼岳に魅きつけられるのか? 茶臼岳の魅力に触れるべく、この山を目指す事にした。 畑薙ダムに車を止めて、信濃俣林道を歩いていく。 昨夜からの頭痛は、未だ続いていた。 中止にしようか迷ったが、結局は『様子を見ながら歩けばいい』と来てしまった。 |
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信濃俣河内堰堤 |
信濃俣河内 |
信濃俣林道の崩落地点手前から山道を下る。 下りきった所で、緊張しながら信濃俣河内入口の吊橋を渡り、 山肌をトラバースして沢の奥へと進む。 間もなく河床へ下り、大量の流出土砂で伏流し真平の河原歩きとなる。 チョロチョロとした流れが現れると、すぐに渓魚の姿も見られるようになった。 そして、堰堤に到着。 数年前までは、乗越えるのに難儀した堰堤も埋まってしまい、 何の段差も無くなっていた。 |
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西河内出会い付近の信濃俣河内 |
西河内入口は荒れていた |
尚も奥へ進み、数度の渡渉を繰り返すと支流・西河内出会いに到着した。 信濃俣河内本流は、両岸を狭めてようやく雰囲気を見せ始める。 今回は、ここから西河内を詰め上がり、まずは西河内源頭の稜線を目指す。 西河内の出会い付近は、倒木と流出土砂で荒れた感じ。 しかし、少し奥に入ると段々と渓相が安定していく。 |
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西河内 |
西河内 |
深淵が現れるとカバ沢出会い。 左へ進み、沢水を飲む大鹿に脅かされ、地形図の水線が消える 二俣に到着したら、沢水でソーメンを食べて休憩する。 |
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地形図の水線が消える二俣 |
そろそろ水が消えそうだ |
二俣を右に進むと、水が枯れて沢筋が2本に別れる。 左は幅広で明るく大量の土砂を押し出した沢。 右は、林の中を流れる暗く苔むした沢。 地形図と見比べて、水音の聞こえる右の沢に歩を進める。 間もなく砂礫(ガレ)の急勾配となり、 アリ地獄様の『踏ん張りの利かない』足元を嫌い右寄りに逃げる。 辺りに美しい蝶が舞っていたが、カメラを構えるとどこかに行ってしまう。 何度もそれを繰り返すが、結局撮影できなかった。 また、アブと小蝿が多く、うっとうしい。 スズメバチに似たアブは、羽音も大きく現れる度にどきどきする。 |
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砂礫の斜面手前 |
藪 |
途中から、ガレ脇の山肌につく。 『本当にこっちで良いのか?』と キョロキョロしつつ、立つ山肌を上がっていく ガレの頭の横まで来たが、まだまだ上があるようだ。 『どうもおかしい』と思い、右へトラバースすると そこが大根沢山〜信濃俣を結ぶ稜線上『ブナ沢のコル』だった。 コルは細尾根だけど、寸又側の斜面にテント1張り分の 平らな場所があり、今夜の旅篭をここに決めた。 重荷から開放され、テントを張ったら水場へと下る。 5分下れば水を得られると聞いていたが、探しながら20分下っても沢は枯れていた。 遥か下に目をやるも、ガラガラの枯れ沢だ。 途方に暮れつつ別の場所に目をやると、岩が黒っぽくなっている場所がある。 大回りして下っていくと、そこだけピンポイントで水が滲み出していた。 水音もない、滲み出してすぐに滲み込んでいく水だ。 じっくりじっくりと時間をかけて、4リットルの水を汲んだ。 本当に小躍りしたいくらい嬉しい事だった。 テントに戻ってウォーターソックスを脱ぐと、3か所ヒルにくわれていた。 キンカンを擦り込み、焼酎のエネルゲン割りで食事をとったらシュラフにもぐる。 ブナ沢のコル 夜中、テント下の斜面を大きな動物が歩いて行った。 テントの外に出てみるも、既に姿は無かった。 |
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