目覚まし代わりにセットした携帯のアラームが鳴る。
蜂蜜コーヒーでパンを食べているうちに、
テントの外が明るくなってきた。
「晴天?展望が利くかもしれない」と嬉しくなる。
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朝 日 |
大井川東俣・奈良田越え付近
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荷物をパックしていると、昨日のおじさんが通って行った。
遅れて自分も出発する。
昨夜はぐっすり眠り、気持ちはリフレッシュしたが荷物は変わらず重かった。
のっけから藪に分け入り、枝葉を掻き分けて歩く歩く。
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密林を行く |
密林と疎林が交互に現れる
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藪を分け行く |
本当にこっちで良いのだろうか |
まずは、笹山を目指す。
地図で見ると、さほど遠くなさそうだけど、私には結構歩きでがあった。
密藪と疎林が交互に現れる。
度々、地形図と地勢を見比べる。
白剥山〜笹山の尾根には、結構テント適地が見られた。
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美味しそうなコケ? |
マーキング |
ガスが濃くなってきた |
花 |
露岩・ハイマツの中を行く |
踏跡やマーキングを拾いながら行くが、時々見失ってしまう。
木の丈が下がり、見通しが利くようになると最初の露岩が現れる。
辺りはハイマツ・低木となり、高山帯の雰囲気が濃くなる。
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痩せた尾根・先が見えない |
日を浴びて元気が出る |
ガスのハイマツ帯は実に幻想的だが、
冷え冷えとした無音の世界に身を置くと、
自然界の厳しさ・恐ろしさが肌から沁みてくる。
そこに一筋の日が差すと、急に体中にエネルギーが漲るのを感じ、
日の光のありがたさを再確認する事となる。
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ナナカマドの花 |
ハイマツの花?実? |
トボトボトボトボと歩いて行くと、急にハイマツの丈が増し、斜面も立ってきた。
尾根を乗越えて向こうに行くべく、ハイマツの切れ目に分け入ると、
体中がハイマツの花粉で黄色になった。
物凄い花粉に、クシャミも出始めた。
そう言えば、昨夜は大量の鼻水に苦しんだ。
もしかしたら、ハイマツの花粉のせいなのか?
尾根の向こうに出ると林となった。
ナナカマドの花が美しい。
トレースに導かれて歩いて行くと、木々に囲まれた円形の砂礫の空間が現れた。
『 ようやく着いたか(笑顔)』
そこが笹山南峰の山頂だった。
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笹山南峰山頂 |
笹山南峰山頂 |
山頂には、山梨県が立てた棒が立っていた。
棒の傍らで水を飲み、辺りを見まわし、
『なぜ、ここだけ開けているんだろう?』等と考えつつ休憩する。
展望も無いので、目の前に見える北峰目指して出発した。
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オコジョ・笹山北峰手前 |
一度下ってから登り始めると、瓦礫とハイマツの登り斜面になった。
目の前を見ると、オコジョが瓦礫の穴から出たり入ったりしていた。
オコジョは写真でしか見た事が無かったが、その特徴からすぐに分かった。
噂には聞いていたが、本当にすばしっこい。
加速装置でもついているみたいだ(笑)
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笹山北峰 |
知恵の輪 |
笹山北峰の山頂では、積み重なった瓦礫の間から、
数匹のオコジョが顔を出して出迎えてくれた。
地形図で進む方向を確認し、尾根の西寄りを進んで行く。
すぐにグングンと下り始め、あまりの降下振りに、
『間違えて山梨県側に下る支尾根に入り込んだのでは?』
と心配になったが、地形図を見ると間違いないようだ。
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白河内手前でハイマツ帯となり、西寄りを進む。
ハイマツの生えていないスペースが所々あり、そこをつなぐ様に行くが、
間もなくハイマツが高く蜜となり、石積みを信じて切れ目の無いハイマツの藪へと突入。
飛び出した場所は草地。
目の前のトレースを辿ってみると、樹林の中へ導かれた。
トレースは、そのうちに幾本にも分かれて消えてしまった。
獣道だったのだ。
ガスが濃くて何も見えない。
『分からなくなったら、一泊すれば明日にはガスも晴れるでしょ。』
と 北に向かって進む事にしたが、
そのうちに細かい枝が絡み合う藪を漕ぐ事になり、
一瞬ガスが切れて、先のハイマツの向こうに白河内らしき山が見えたが、
全然捗らなくなり戻る事にした。
すると、マーキングを発見。
間もなく、白河内に到着した。
白河内は、見えてからが遠い瓦礫の山だった。
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白河内 |
白河内山頂付近 |
白河内を越えると、地勢は二重山稜等が現れ、
道筋を読みながら大篭岳を目指す。
地形を読み間違うと断崖に行き詰まり、戻っては別を進むといった感じだ。
そろそろ大篭だと思うが、三角点が見当たらず山頂が分からない。
とりあえず、目の前にある丘の頂上は全て踏んでみた。
その中に、大篭岳として紹介されていた写真に似たピークがあった。
『ピーク直下に良い幕場がある』と紹介され、確かに一見良さそうなスペースがあったが、
雷と風雨を心配した私は、少し戻ってハイマツの舟窪の中にテントを張った。
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どこが大篭岳? |
いったいどこが大篭岳??? |
テントを張ったら、間もなく雨が降り始めた。
その後、一晩中吹き荒れた強風に『あんな所にテントを張らなくて良かった』とホッとした。
夜半、胃が痛くなったが、リラックスした夜を過ごす事が出来た。
稜線での最後の夜、自分の子どもたちの事を色々考えながら眠りについた。
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