平成15年7月 転付峠〜広河内岳 【二日目】
 
  
目覚まし代わりにセットした携帯のアラームが鳴る。
蜂蜜コーヒーでパンを食べているうちに、
テントの外が明るくなってきた。
 
「晴天?展望が利くかもしれない」と嬉しくなる。
  
 

朝 日
  

大井川東俣・奈良田越え付近
 
荷物をパックしていると、昨日のおじさんが通って行った。
 
遅れて自分も出発する。
昨夜はぐっすり眠り、気持ちはリフレッシュしたが荷物は変わらず重かった。
のっけから藪に分け入り、枝葉を掻き分けて歩く歩く。
   

密林を行く

密林と疎林が交互に現れる

藪を分け行く

本当にこっちで良いのだろうか
 
まずは、笹山を目指す。
地図で見ると、さほど遠くなさそうだけど、私には結構歩きでがあった。
 
密藪と疎林が交互に現れる。
度々、地形図と地勢を見比べる。
白剥山〜笹山の尾根には、結構テント適地が見られた。
 

美味しそうなコケ?

マーキング

ガスが濃くなってきた


露岩・ハイマツの中を行く
 
踏跡やマーキングを拾いながら行くが、時々見失ってしまう。
木の丈が下がり、見通しが利くようになると最初の露岩が現れる。
辺りはハイマツ・低木となり、高山帯の雰囲気が濃くなる。
  

痩せた尾根・先が見えない

日を浴びて元気が出る
 
ガスのハイマツ帯は実に幻想的だが、
冷え冷えとした無音の世界に身を置くと、
自然界の厳しさ・恐ろしさが肌から沁みてくる。
 
そこに一筋の日が差すと、急に体中にエネルギーが漲るのを感じ、
日の光のありがたさを再確認する事となる。
 

ナナカマドの花

ハイマツの花?実?
 
トボトボトボトボと歩いて行くと、急にハイマツの丈が増し、斜面も立ってきた。
尾根を乗越えて向こうに行くべく、ハイマツの切れ目に分け入ると、
体中がハイマツの花粉で黄色になった。
物凄い花粉に、クシャミも出始めた。
 
そう言えば、昨夜は大量の鼻水に苦しんだ。
もしかしたら、ハイマツの花粉のせいなのか?
 
尾根の向こうに出ると林となった。
ナナカマドの花が美しい。
トレースに導かれて歩いて行くと、木々に囲まれた円形の砂礫の空間が現れた。
 
『 ようやく着いたか(笑顔)』
 
そこが笹山南峰の山頂だった。
 

笹山南峰山頂

笹山南峰山頂
 
山頂には、山梨県が立てた棒が立っていた。
棒の傍らで水を飲み、辺りを見まわし、
『なぜ、ここだけ開けているんだろう?』等と考えつつ休憩する。
 
展望も無いので、目の前に見える北峰目指して出発した。
 

オコジョ・笹山北峰手前
 
一度下ってから登り始めると、瓦礫とハイマツの登り斜面になった。
目の前を見ると、オコジョが瓦礫の穴から出たり入ったりしていた。
オコジョは写真でしか見た事が無かったが、その特徴からすぐに分かった。
噂には聞いていたが、本当にすばしっこい。
加速装置でもついているみたいだ(笑)
 

笹山北峰

知恵の輪
 
笹山北峰の山頂では、積み重なった瓦礫の間から、
数匹のオコジョが顔を出して出迎えてくれた。
 
地形図で進む方向を確認し、尾根の西寄りを進んで行く。
すぐにグングンと下り始め、あまりの降下振りに、
『間違えて山梨県側に下る支尾根に入り込んだのでは?』
と心配になったが、地形図を見ると間違いないようだ。
  
 
白河内手前でハイマツ帯となり、西寄りを進む。
ハイマツの生えていないスペースが所々あり、そこをつなぐ様に行くが、
間もなくハイマツが高く蜜となり、石積みを信じて切れ目の無いハイマツの藪へと突入。
 
飛び出した場所は草地。
目の前のトレースを辿ってみると、樹林の中へ導かれた。
トレースは、そのうちに幾本にも分かれて消えてしまった。
獣道だったのだ。
 
ガスが濃くて何も見えない。
『分からなくなったら、一泊すれば明日にはガスも晴れるでしょ。』
と 北に向かって進む事にしたが、
そのうちに細かい枝が絡み合う藪を漕ぐ事になり、
一瞬ガスが切れて、先のハイマツの向こうに白河内らしき山が見えたが、
全然捗らなくなり戻る事にした。
 
すると、マーキングを発見。
間もなく、白河内に到着した。
白河内は、見えてからが遠い瓦礫の山だった。
  

白河内

白河内山頂付近
 
白河内を越えると、地勢は二重山稜等が現れ、
道筋を読みながら大篭岳を目指す。
地形を読み間違うと断崖に行き詰まり、戻っては別を進むといった感じだ。
 
そろそろ大篭だと思うが、三角点が見当たらず山頂が分からない。
とりあえず、目の前にある丘の頂上は全て踏んでみた。
その中に、大篭岳として紹介されていた写真に似たピークがあった。
『ピーク直下に良い幕場がある』と紹介され、確かに一見良さそうなスペースがあったが、
雷と風雨を心配した私は、少し戻ってハイマツの舟窪の中にテントを張った。
 

どこが大篭岳?

いったいどこが大篭岳???
 
テントを張ったら、間もなく雨が降り始めた。
その後、一晩中吹き荒れた強風に『あんな所にテントを張らなくて良かった』とホッとした。
夜半、胃が痛くなったが、リラックスした夜を過ごす事が出来た。
 
稜線での最後の夜、自分の子どもたちの事を色々考えながら眠りについた。
 


TOP  三日目
 

 
 

 
 
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送