今回は・・・ 今年の春、 北関東の渓谷を案内していただいたMさんと、 本邦最南の3000m峰・聖岳へご一緒する事となった。 入山前日、JR駅へMさんを迎えに行き、 一路井川奥を目指して車を走らせる。 途中幾度か休憩し、辺りが明るくなる頃 椹島登山口に到着した。 Mさんに先を歩いていただき、 雑談と周りの景色を楽しみながら高度を稼いでいく。 赤石沢発電所の導水管が発する重低音が遠くなると 間もなく出会所小屋。 |
登山口 |
聖沢吊橋 吊橋付近の聖沢 |
東尾根に上がる径を脇目にトラバース道を行くと、 心細い流れをまたぐ立派な聖沢吊橋に出た。 上部で取水されている事もあり、 段差の中に水溜りが点在するといった感じであった。 吊橋の麓で一服した後、急坂の登りにかかる。 足元を見ながら1歩1歩歩んでいくと、 アケビの皮が落ちていた。 更に歩を進めていくと、 今度は黄緑色の木の実が落ちており、 「サルナシだ♪」 と声を出すと同時に口に放りこむ。 Mさんが「えっ?サルナシ?」と振り返った時には、 もう既に果肉を吸った後だった。 サルナシがどういうものなのか? 見る機会を逸したMさんは、しばし残念がっていた。 倒木のウロの中に見える 「ヒメスズメバチの巣」の横を静かに通過し、 一層傾斜を増した山肌を上がって行く。 |
ジグザグの登山道は、 緩過ぎず急でもなく絶妙な角度で山肌に切られている。 脇に節くれた古木等を見ながら上がっていくと、 間もなく潰れた架線小屋のある平に出た。 木漏れ日に何だか嬉しくなる。 この時期の山歩きは、 「天候」に左右される部分が大きい。 腰を下ろしてパンを食べ、 喉をうるおしたら再び歩き始めた。 |
架線小屋跡 |
見晴台からの展望 |
樹林の中の、 ふかふかの腐葉土と木の根 で作られた階段を踏みしめて上がっていく。 道が尾根の脇に回るようになると、 我々よりも僅かに高い木の中を歩む様になり、 木の枝葉を分けつつ、開けた空の下を進む。 ラジオラリア(赤岩) 対岸の東尾根の山肌を望むと、 ガレの中にラジオラリアの岩盤が露出していた。 いつの間にか滝見台を通り過ぎ、 一汗かけば、遭難碑のある見晴台に辿りついた。 見下ろせば聖沢の水線。 雨不足の影響か? 取水提の上も細い流れであった。 |
まもなく聖沢源流部の二俣に辿りついた。 まだ時間があったので、 聖平の小屋へ入る前に右俣を散策してみる。 針葉樹の高原を流れる右俣は、 河原も川底もラジオラリア粘岩で赤!赤!赤! 独特の雰囲気を持った美しい沢でした。 のんびりしていたいけど、 そろそろ晩飯と宿が心配になってきた。 後ろ髪を引かれつつ沢に別れを告げ、 林に入り左俣沿いの登山道へと戻る。 木立の向こうに赤い屋根が見えてきた。 今夜の宿、聖平小屋だ。 小屋には既に先客がおり、 挨拶を済ませ、水場にビールを沈め、 早速晩飯の準備にとりかかった。 |
聖沢右俣 |
BGM:エーゲ海の真珠 |
ここでMさんの新兵器の登場。 登山ショップで買ったという、 「御飯が上手に炊ける袋」のお出ましである。 袋に、適量の「洗っていない生米」を入れて 串で封をし、コッフェルのお湯の中に沈める。 あとは、説明書の時間通りに煮て蒸らしたら完成。 出来あがった御飯は、 芯の無い美味しい炊上がりでした。 |
チラシ寿司やら味噌汁をこしらえ、 ビールのお供を広げたら乾杯! 沢胡桃が、焼酎をビールで割る「ビー酎」を飲んでいたら、 Mさんも「ホッピーみたいだね」と同じ様に飲み始めた。 これが、なかなかイケルのである。 キャンプ歴の長いMさんの、 様々な工夫の話に感心しながら、 山のご馳走に舌鼓を打つ。 翌朝の段取りを確認して、 程好いところでシュラフに潜り込んだ。 軽量化の為に夏用羽毛シュラフを持って来たので、 羽毛ベストとカッパを着込みシュラフにもぐった後、 ザックに足を突っ込んで眠りについた。 明日は、いよいよ麗峰聖岳である。。。 |
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