平成14年8月 北岳〜間ノ岳〜塩見岳〜蝙蝠岳 【一日目】
 
 
本当は黒法師岳に行くつもりだったが、
直前になって急遽今回のコースへと変更した。

いつか歩きたいコースとして、下調べだけはしてあったのだ。
 


夜、仕事を終えると、
「北岳の登山口・広河原」行きのバスに乗るべく
山梨は甲府駅を目指して車を走らせる。

3:00頃甲府駅に付いた。
付近の牛丼屋に入り、朝飯を腹にかき込む。

寝不足で疲れているはずなのに、
何故か目は冴えている。
暗闇で見たらギラギラ光っていたかも(笑)

4:30発広河原行きのバスに乗る。
とりあえず2時間はバスの中。
到着までの間、少しでも寝られるようにと
缶ビールを一本空ける。

夜叉神峠で休憩し、
農鳥岳を左に見ながら、
のんびり快適なバスの旅は続く。

いつのまにやら広河原。
2時間なんてあっという間でした。

バス終点前の野呂川

広河原山荘
 
バス終点付近は、登山者と路上駐車だらけ。
「ハイシーズンは過ぎたはずなのに???」

とりあえず4Lの水をくみ、ザックに入れる。
肩に食い込むザックの紐に
ヨレヨレしながら出発した。

吊り橋を渡り広河原山荘の脇を抜ける。
大樺沢沿いの登山道に入り、樹林の中を上がっていく。
体が慣れていないせいか?
出だしから大変だ。

出発して20分。
もう帰りたくなってきた(泣)
 
何とかトボトボと歩を進める。
路脇の美しい花に励まされて何とか歩く。

そのうち体が慣れてきたのか?
暫くすると、遅いながらも
順調に足が出るようになった。

崩落個所を巻く為、登山道は大樺沢の
左岸から右岸に移る。

巻き道を暫く上がった後、急勾配を下る場所で
逆を来る登山者に路を譲った。

譲ったのは良いが、その後から来るは来るはの大行列。
全員同じグループらしい。
絶え間無い挨拶に頭がクラクラした。

リーダーは、途中でグループを区切る
配慮を見せてほしかった。

再び左岸に渡り、一汗かいて見上げると、
北岳バットレス(大岸壁)が迫っていた。

バイオトイレの発電機の音が聞こえると、
もう二俣は目の前だ。

ガンバレ!

北岳バットレス

大樺沢下流部を振り返る

大樺沢左俣の雪渓
 

二俣で休憩し食事を摂る。
何故か、私の周りには
若く美しい女性登山者ばかり♪

遠くに座っているムサイ登山者達と
大声で冗談を交わす。
良い休憩になった。

出発前にバイオトイレを試した。
利用者はチップを箱に入れる事になっている。
箱に100円を入れたら、
ザックを背負って左俣にコースを求めた。


下りの登山者と挨拶を交わすと、相手は
「登りの核心はこれからですよ♪(ニヤリ)」
と言いながら下って行った。

なるほど。
水が枯れ、勾配は益々急になってきた。

枯れ沢の右側斜面へと導く
指導標に従うと、路に木の梯子が現れた。


 
次から次へと梯子が出てくる登山道。
梯子と勾配を楽しむ事とした。

梯子の途中で脇を見ると、
葉が青々としているナナカマドも、
実を朱に染めつつあった。

いつの間にかハイマツが現れ、
高山の趣が色濃くなってきた。


ななかまど

池山吊尾根分岐

池山吊尾根/八本歯の頭
 


いくつ目か分からない梯子を登り終えると
なだらかな登り坂になった。

目の前の空が開けると、
待望の「吊尾根分岐の指導標」が
目の前に立っていた。








分岐に立つと、
正面に間ノ岳が現れ、
その山容の大きさに、しばし見とれた。

ただ、辺りを見るとガスが多く、
雲も湧き立っている。
今日中に踏むであろう北岳山頂の
天気が気になった。

分岐から、北岳・北岳山荘方面を
目指して歩き始めた。

折り重なる岩の上を行くと、 
「北岳山荘」へのトラバース道と
「北岳山頂方面」の道を分ける分岐に着いた。
上の稜線方向を見ると、
天気は何とか持ちそうな感じだ。

下って来た人から、
「北岳山頂は、(稜線の向こうの)信州側は雲が無い」
と言う嬉しい情報をいただいた。
素晴らしい展望が約束された。
水分を摂ったら、早速北岳山頂を目指して出発した。

トボトボと登って行くと稜線に出た。
ここが最後の分岐である。
右が北岳、左が今夜の宿・北岳山荘。
風があるのでカッパの上を着る。
ザックをデポし、北岳への登りに取りつく。
  

山荘分岐

北岳山頂

「来ただけ」

途中、北岳バットレスの方から、
メガネのおばさんがヌッと現れた。
こんにちはと言うと挨拶も返さず、
「山頂はどっちよ」と聞いてきた。
粗末なクライマーも居たものだ。

間もなく、山頂を示す、南アお馴染みの
「ダンゴの形をした看板」が出てきた。

ただ、そこは確かに山頂の一角だけど、
大方の者が山頂と認識している場所・看板は、
もう少し北方であった。

ここで満足して帰ったら、
北岳ではなく「来ただけ?」
(そんな事は無い)

改めて、もう少し北の山頂に着くと、
写真家の若者がシャッターを押してくれた。

その後、一人で来たと言う
アメリカの男性のシャッターを押してあげた。

シャッターを押す時、
「スマイリー♪そうそう、もっとスマイリー♪」
と声を掛けたら恥かしそうな
嬉しそうな顔をしていた。
 
 
早々に山頂から下り、急いで山荘を目指す。
山荘の裏まで来たら鐘が目に入った。
とりあえず鐘をガランガラン鳴らした後、受付に向かった。

入り口のホワイトボードには
「今日は、一つの布団に二人です」と書いてあった。
受付けで、寝具持参を告げて確認したら、
「それほど混んでいないので心配無く」との話しであった。

村営の小屋がどんな感じか楽しみだった。
結構広い部屋がいくつかあり、
山荘の布団で寝る人達は窮屈そうであったが、
寝具持参者のコーナーは二人だけ。

夕食前に・・・

下界から背負い上げて来た
缶ビールを片手に付近を散策すると、
尾根東側のガスに、缶ビールを手にした
ブロッケンが映っていた(笑)


山荘の周りには・・・

盛期はとうに過ぎているのに、
多くの高山植物が花を咲かせていて嬉しくなった。

50年後も100年後も、これら草花は健在だろうか?
疲れた山旅の人々を癒してくれるのだろうか。


西を見れば、山並みの向こうに
夕日が遠ざかっていく。

酔払いに感傷的な言葉は似合わない。


ブロッケン現象 (人影がガスや雲に映る現象)

村営北岳山荘
 
 
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