本当は黒法師岳に行くつもりだったが、 直前になって急遽今回のコースへと変更した。 いつか歩きたいコースとして、下調べだけはしてあったのだ。 |
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夜、仕事を終えると、 「北岳の登山口・広河原」行きのバスに乗るべく 山梨は甲府駅を目指して車を走らせる。 3:00頃甲府駅に付いた。 付近の牛丼屋に入り、朝飯を腹にかき込む。 寝不足で疲れているはずなのに、 何故か目は冴えている。 暗闇で見たらギラギラ光っていたかも(笑) 4:30発広河原行きのバスに乗る。 とりあえず2時間はバスの中。 到着までの間、少しでも寝られるようにと 缶ビールを一本空ける。 夜叉神峠で休憩し、 農鳥岳を左に見ながら、 のんびり快適なバスの旅は続く。 いつのまにやら広河原。 2時間なんてあっという間でした。 |
バス終点前の野呂川 |
広河原山荘 |
バス終点付近は、登山者と路上駐車だらけ。 「ハイシーズンは過ぎたはずなのに???」 とりあえず4Lの水をくみ、ザックに入れる。 肩に食い込むザックの紐に ヨレヨレしながら出発した。 吊り橋を渡り広河原山荘の脇を抜ける。 大樺沢沿いの登山道に入り、樹林の中を上がっていく。 体が慣れていないせいか? 出だしから大変だ。 出発して20分。 もう帰りたくなってきた(泣) |
何とかトボトボと歩を進める。 路脇の美しい花に励まされて何とか歩く。 そのうち体が慣れてきたのか? 暫くすると、遅いながらも 順調に足が出るようになった。 崩落個所を巻く為、登山道は大樺沢の 左岸から右岸に移る。 巻き道を暫く上がった後、急勾配を下る場所で 逆を来る登山者に路を譲った。 譲ったのは良いが、その後から来るは来るはの大行列。 全員同じグループらしい。 絶え間無い挨拶に頭がクラクラした。 リーダーは、途中でグループを区切る 配慮を見せてほしかった。 再び左岸に渡り、一汗かいて見上げると、 北岳バットレス(大岸壁)が迫っていた。 バイオトイレの発電機の音が聞こえると、 もう二俣は目の前だ。 |
ガンバレ! 北岳バットレス |
大樺沢下流部を振り返る 大樺沢左俣の雪渓 |
二俣で休憩し食事を摂る。 何故か、私の周りには 若く美しい女性登山者ばかり♪ 遠くに座っているムサイ登山者達と 大声で冗談を交わす。 良い休憩になった。 出発前にバイオトイレを試した。 利用者はチップを箱に入れる事になっている。 箱に100円を入れたら、 ザックを背負って左俣にコースを求めた。 下りの登山者と挨拶を交わすと、相手は 「登りの核心はこれからですよ♪(ニヤリ)」 と言いながら下って行った。 なるほど。 水が枯れ、勾配は益々急になってきた。 枯れ沢の右側斜面へと導く 指導標に従うと、路に木の梯子が現れた。 |
次から次へと梯子が出てくる登山道。 梯子と勾配を楽しむ事とした。 梯子の途中で脇を見ると、 葉が青々としているナナカマドも、 実を朱に染めつつあった。 いつの間にかハイマツが現れ、 高山の趣が色濃くなってきた。 |
ななかまど |
池山吊尾根分岐 池山吊尾根/八本歯の頭 |
いくつ目か分からない梯子を登り終えると なだらかな登り坂になった。 目の前の空が開けると、 待望の「吊尾根分岐の指導標」が 目の前に立っていた。 分岐に立つと、 正面に間ノ岳が現れ、 その山容の大きさに、しばし見とれた。 ただ、辺りを見るとガスが多く、 雲も湧き立っている。 今日中に踏むであろう北岳山頂の 天気が気になった。 分岐から、北岳・北岳山荘方面を 目指して歩き始めた。 |
折り重なる岩の上を行くと、 「北岳山荘」へのトラバース道と 「北岳山頂方面」の道を分ける分岐に着いた。 上の稜線方向を見ると、 天気は何とか持ちそうな感じだ。 下って来た人から、 「北岳山頂は、(稜線の向こうの)信州側は雲が無い」 と言う嬉しい情報をいただいた。 素晴らしい展望が約束された。 水分を摂ったら、早速北岳山頂を目指して出発した。 トボトボと登って行くと稜線に出た。 ここが最後の分岐である。 右が北岳、左が今夜の宿・北岳山荘。 風があるのでカッパの上を着る。 ザックをデポし、北岳への登りに取りつく。 |
山荘分岐 |
北岳山頂 「来ただけ」 |
途中、北岳バットレスの方から、 メガネのおばさんがヌッと現れた。 こんにちはと言うと挨拶も返さず、 「山頂はどっちよ」と聞いてきた。 粗末なクライマーも居たものだ。 間もなく、山頂を示す、南アお馴染みの 「ダンゴの形をした看板」が出てきた。 ただ、そこは確かに山頂の一角だけど、 大方の者が山頂と認識している場所・看板は、 もう少し北方であった。 ここで満足して帰ったら、 北岳ではなく「来ただけ?」 (そんな事は無い) 改めて、もう少し北の山頂に着くと、 写真家の若者がシャッターを押してくれた。 その後、一人で来たと言う アメリカの男性のシャッターを押してあげた。 シャッターを押す時、 「スマイリー♪そうそう、もっとスマイリー♪」 と声を掛けたら恥かしそうな 嬉しそうな顔をしていた。 |
早々に山頂から下り、急いで山荘を目指す。 山荘の裏まで来たら鐘が目に入った。 とりあえず鐘をガランガラン鳴らした後、受付に向かった。 入り口のホワイトボードには 「今日は、一つの布団に二人です」と書いてあった。 受付けで、寝具持参を告げて確認したら、 「それほど混んでいないので心配無く」との話しであった。 村営の小屋がどんな感じか楽しみだった。 結構広い部屋がいくつかあり、 山荘の布団で寝る人達は窮屈そうであったが、 寝具持参者のコーナーは二人だけ。 夕食前に・・・ 下界から背負い上げて来た 缶ビールを片手に付近を散策すると、 尾根東側のガスに、缶ビールを手にした ブロッケンが映っていた(笑) 山荘の周りには・・・ 盛期はとうに過ぎているのに、 多くの高山植物が花を咲かせていて嬉しくなった。 50年後も100年後も、これら草花は健在だろうか? 疲れた山旅の人々を癒してくれるのだろうか。 西を見れば、山並みの向こうに 夕日が遠ざかっていく。 酔払いに感傷的な言葉は似合わない。 |
ブロッケン現象 (人影がガスや雲に映る現象) 村営北岳山荘 |
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