平成14年10月 朝日岳 【日帰り】
 

猿並吊橋
 
「心地よい音楽が流れているなぁ♪」
なんて思いながら目を覚ます。
 
・・・・・・・あっ、寝坊した!
 
心地よい音楽じゃなくて、目覚し時計の音だった。
急いで着替えて、車に乗る。

目指すは、静岡県の奥大井にある、
温泉で有名な寸又峡(すまたきょう)。

今日は、寸又峡を囲む「寸又三山」のうちの一つ、
朝日岳に日帰りで登る予定である。
 
 
 
最初から寝坊では先が思いやられるが、
昨日から心配していた雨は大丈夫そうだ。

コンビニで朝食と昼食を買い、
寸又峡手前の峠「兎辻(うさぎつじ)」から
朝日岳を遠望すると、
中腹より上はガスに隠れていた。

駐車場に車を止めて、
お土産屋さんに挨拶をして出発する。
坂を下って行くと、
大井川支流・寸又川にかかる「猿並吊橋」
のふもとに出た。

目の前の山の斜面を見上げながら渡る。

渡り終えると、すぐに登り坂が始まる。
ペタペタペタペタ登って行くと、
「びくに坂」と言う看板があった。
魚篭?魚篭荷?
はたして名前の由来はなんだろうね?

すぐに、
寸又川沿いに奥へと伸びている「左岸林道」
に出た。

吊り橋から林道までのチョットした坂道で、
だいぶ汗をかいてしまった。

林道の脇に、登山コースの案内看板が立っていた。
看板のコース説明の中に「険しい」という文字がある。

そして、看板上の「現在地」を見ると、
その脇に「登山口」の文字が・・・・・。

ショック
朝日岳登山コースは、今居る場所がスタート地点らしい。
登山口に辿りつく前から汗ダラダラかい!


 びくに坂

コース案内看板

何だろうね
 
登山道は樹林の中を行く。
展望も何もない、斜面に張り付く登り坂。

久し振りの山歩き。

日帰りピストンなので、下山時間が遅くならないように
時間を気にしながら歩く事になる。
泊まり山行と違って気持ちにゆとりがなく、
自然とペースが速くなってしまう。
ペースが速過ぎると、
後でバテたりして大変なんだよね。

ペースを落とすため、
周りの植生を観察しながら行く。

丸いものがくっついている葉っぱがあった。
丸いものを剥がしてみたら、
どうやら葉っぱと「一体」のものらしい。
何だろうね?

そのうちヤセ尾根を行くようになる。
樹林の中だと・・・展望が利かないので、
どれくらい登ったのかが分かりづらい。

突然、左側の展望が開ける。
正面に、寸又川と大間川の水を湛えた「大間ダム」と、
そこに架かる「夢の吊橋」が見え、それなりに高度を
上げていることを知って喜ぶ。

尚も登り続けて1時間。
山深い雰囲気になったと、辺りを見まわしながら一休み。
直後、残念ながら中部電力の広報や
救急車のサイレン音が聞こえてきた(苦笑)

喉の渇きは無かったけど、
用心の為に水分をとり、再び登りにかかる。
途中、ロープを張ってある場所がいくつかある。
「中には興ざめだとか言う人もいるんだろうな」
などと思いつつ、地元の有志が苦労して
整備した登山道を行く。
 
登山道が整備される前は、
時々事故とかがあったらしい。
 
そのうち、トラバース道になる。
紫色の木の実の皮が落ちていたので見上げると、
食べ頃のアケビがブラブラとぶら下がっていた。
 アケビは帰路の楽しみとし、先に進む。

大間ダム

あ け び

合地ボツ

すぐに、「合地ボツ」という看板の立つ場所に到着した。
看板の横にも、合地ボツと彫られた石碑があった。
裏を見ると「安らかに眠れ」と彫られていた。
合掌して、右に90度折れて尾根上を行く。


「ピチピチ・・・♪」と鳥の鳴声が降り注ぐ。
見上げると、木の枝には
幾羽も「お手玉にくちばしが生えた」ような
可愛い小鳥がとまっていた。

チョコチョコと、枝から枝へと飛び移る。
本当に、お手玉のようだ。
 
 
勾配の緩やかな尾根を歩いて行く。
間もなく「見晴台」などの看板が、連続して出てくるようになる。
 

赤ペンキが導いてくれる
 
迫力のあるガレの頭
 
北西方向が開けた場所では、
西を望むと、寸又三山のうちの一座「前黒法師岳」が大きくそびえ、
北を望むと県境向こうの、信州の空まで見渡せた。
特徴的な双耳峰は池口岳かな?
いまいち、山名が分からない。
   

手前が前黒法師岳・奥が黒法師岳

寸又川最源流を囲む山々
 
少し進むと「ヤシオツツジ見所」という看板が現れた。
辺りを見ても、どれがツツジか?・・分からない。
こんなに立派な看板を立つほどだから、
花の時期に来れば、きっと素晴らしいのだろう。

今度は「ツツジの美しい時期にも来るのもいいな」と思った。
 

ツツジ見所の看板
 
ツツジの看板の脇では、
2本の木が熱いドラマを繰り広げており、目のやり場に困った。
  

熱い抱擁

昼メロ?

周りの樹や地形を見ながら、どちらかと言うと水平方向に距離を延ばしていく。
そのうち、段々と斜面が立ってきた。
 

よく整備された登山道

勾配はあるけど踏み跡は明確
 
左に崖を見ながら、急坂を這い上がる。
やがて、なだらかになると、「栗山沢の頭」の看板が現れた。
そこからは、うっそうとした緩斜面を行く。

1本だけ、太く大きな樹が現れる。
クルミかな?
下から、大きく張った枝々を見上げる。
風格漂う巨木をカメラに収め、少し先に進むと、
木々の間に何かが見えた。

それが山頂の目印。
標高1826m・朝日岳の頂点を示す看板だった。
  

風格漂う巨木

朝日岳山頂 (木々の向こう)
 
まずは三角点に触り、東方の切り開きの間から、
対岸の、栗代川左岸稜線を望む。
突出した三角形は風イラズか?
その山頂は、すぐにガスの中へと消えてしまった。

コンニチハ

栗代川の対岸を望む
 
三角点の脇に座り、パンを食べる。
静かで良い山頂だけど、周りを見るとゴミだらけ。
一休みしたら、ゴミを拾う事にした。
 
ゼリーや飴の包み・銀紙・タバコの空箱等が、そこかしこに落ちている。
わずかな時間で買い物袋一杯のゴミが集まった。
 大分きれいになった!

ゴミの多さに辟易したけど、
これで、今度来る時は綺麗な山頂が迎えてくれるかな?
 
 
45分の滞在で山頂に別れを告げる。
のっけから、登り以上に辛い下りが待っていた。

ゆっくりゆっくり下る。
途中、アケビ取りに夢中になる。
また、斜面に落ちていた「青い木の実」を
かじってみては、そのスッパさに驚いたりした。

ザラザラの急勾配で滑り、膝を捻った。
歪んだ顔で目前の斜面を見ると、
細技に、カミさんの好きな「梅仁丹」の様な実がなっていた。
「慎重にしなきゃ、ダメじゃないの!」
山にまで来て、カミさんに怒られているような気分になった。
 
 
 
 
既に色づいた葉っぱの向こうに、
奥大井の山々を繋ぐ稜線が見える。


人もまた、いつかは枯れ落ち土にかえる。
それまでに、その向こうに見える頂に、
どこまで近付けるのかな?
 
 
 
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