きのこ御飯 |
まだ真っ暗いけど、外で気配がした。 瀬畑さんが、焚き火の火を起こしていた。 こりゃいかん! シュラフから抜け出て、何か手伝う事を探す。 教えていただき、小屋の周りのミツバを摘む。 味噌汁の具にするというのだ。 美味しいきのこ御飯に、 現地調達の食材を使った味噌汁。 こんな贅沢な朝食があるだろうか。 |
小屋のカマドの中に、私の羊羹が落ちていた。 うっかり落としたらしく、踏み潰されて炭だらけ。 食後、飯盒を洗うついでに羊羹も洗い、もったいないので食べてみた。 残った包みはびしょ濡れなので、洗い終わった飯盒の脇に置いて残りを洗っていた。 すると、ゴミ拾いに余念の無いDさんが、それを見つけ、 『わ゛っ!ゴミ!さっききれいにした場所に、もう落ちている!』 と怒ってしまった。 状況を見れば分かるだろうと思っていただけに、ガッカリした。 放っておいたら、Dさんの怒りは収まったようだ。 この日は、学生さん達も一緒に釣りを楽しんだ。 私達も、学生さん達にとっても、 瀬畑さんの日光テンカラを目にする、又と無いチャンスなのだ。 繊細なアプローチと、大胆勝つ正確な遠投。 フリーの毛鈎が、流れを外さず流下する。 自分が釣っている最中でも、瀬畑さんの釣りが気になる。 結局、(勝手に)瀬畑師の後ろに付いて、どんな釣り方をするのか見せてもらう。 名人の釣りは、見ているだけでも面白い。 |
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ロングラインが、ピンポイントを狙い撃つ |
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テンカラは、ビデオで基本をおぼえ、本にヒン トを求め、口頭でのアドバイスしか受けた事 がないので、通信教育のカラテマンみたいな ものなのだ。 通信テンカラ2級(笑) 瀬畑さんの釣りを後ろから見ていて、流す順 番や、打ち方など大変勉強になった。 そのうち、瀬畑さんは釣りを止め『三つ又で、 昼の準備をしているよ』と戻って行った。 Dさんと、交代で竿を出して遡っていく。 第一ゴルジュの淵を巻いた上で時間となる。 来た筋を下り、三つ又に戻った。 |
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既に焚火が起きており、登っていく煙が『早くおいでよ』と招いていた。 三つ又で学生さんの生かし魚篭をのぞくと、岩魚とアマゴが入っていた。 うち何匹かは、瀬畑さんが焚火の前で釣ったものだという。 小沢から戻って来た瀬畑さんが『小さいけど釣れたよ』と話していたが、 なんのなんの丸々と太った良型である。 魚を前にした瀬畑さんの笑顔に、やっぱり釣り師なんだと思った。 私達に見せ終わると、釣った魚を流れに戻した。 楽しい二日間も、間もなくおしまい。 お世話になった小屋の周りを整理したら、 早くも秋の気配漂う、南アルプスを後にした。 瀬畑さん、生涯忘れられない思い出になりました。 ありがとうございました。 |
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