平成13年9月 信濃俣河内 【二日目】
 

きのこ御飯 
 
まだ真っ暗いけど、外で気配がした。
瀬畑さんが、焚き火の火を起こしていた。
 
こりゃいかん!
シュラフから抜け出て、何か手伝う事を探す。
 教えていただき、小屋の周りのミツバを摘む。
味噌汁の具にするというのだ。
 
美味しいきのこ御飯に、
現地調達の食材を使った味噌汁。
 
こんな贅沢な朝食があるだろうか。
  
  
小屋のカマドの中に、私の羊羹が落ちていた。
うっかり落としたらしく、踏み潰されて炭だらけ。
食後、飯盒を洗うついでに羊羹も洗い、もったいないので食べてみた。
残った包みはびしょ濡れなので、洗い終わった飯盒の脇に置いて残りを洗っていた。
すると、ゴミ拾いに余念の無いDさんが、それを見つけ、
『わ゛っ!ゴミ!さっききれいにした場所に、もう落ちている!』
と怒ってしまった。
 
状況を見れば分かるだろうと思っていただけに、ガッカリした。
 放っておいたら、Dさんの怒りは収まったようだ。
 
 この日は、学生さん達も一緒に釣りを楽しんだ。
 
 私達も、学生さん達にとっても、
瀬畑さんの日光テンカラを目にする、又と無いチャンスなのだ。
 
 繊細なアプローチと、大胆勝つ正確な遠投。
 フリーの毛鈎が、流れを外さず流下する。
 自分が釣っている最中でも、瀬畑さんの釣りが気になる。
 
 結局、(勝手に)瀬畑師の後ろに付いて、どんな釣り方をするのか見せてもらう。
 名人の釣りは、見ているだけでも面白い。
 

ロングラインが、ピンポイントを狙い撃つ
 
 テンカラは、ビデオで基本をおぼえ、本にヒン
 トを求め、口頭でのアドバイスしか受けた事
 がないので、通信教育のカラテマンみたいな
 ものなのだ。
 
 通信テンカラ2級(笑)
 
 瀬畑さんの釣りを後ろから見ていて、流す順
 番や、打ち方など大変勉強になった。
  
 そのうち、瀬畑さんは釣りを止め『三つ又で、
 昼の準備をしているよ』と戻って行った。
 Dさんと、交代で竿を出して遡っていく。
 第一ゴルジュの淵を巻いた上で時間となる。
 来た筋を下り、三つ又に戻った。
 
既に焚火が起きており、登っていく煙が『早くおいでよ』と招いていた。
三つ又で学生さんの生かし魚篭をのぞくと、岩魚とアマゴが入っていた。
うち何匹かは、瀬畑さんが焚火の前で釣ったものだという。
 
小沢から戻って来た瀬畑さんが『小さいけど釣れたよ』と話していたが、
なんのなんの丸々と太った良型である。
魚を前にした瀬畑さんの笑顔に、やっぱり釣り師なんだと思った。
私達に見せ終わると、釣った魚を流れに戻した。
 
 楽しい二日間も、間もなくおしまい。
お世話になった小屋の周りを整理したら、
早くも秋の気配漂う、南アルプスを後にした。
  
瀬畑さん、生涯忘れられない思い出になりました。
ありがとうございました。
 
  
 
 
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